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4.あるいは、ファーストインパクト


最初は憧れ。

ありとあらゆるランキングで、キミの名前を見た。
まだIshを始めたばかりのボクにはランキングなんて遠い遠い雲の上の世界。
あんなところに名前が載ったらかっこいいな、なんて思った。

だってまだまだ小さな子供だったもの、どんなゲームもヘタクソで当然。
だから、うんと練習した。

初めてキミの名前を見た日から時間が経って、
ボクは前よりもずっとゲームが上手くなった。
ランキングなんてやっぱり遠い雲の上だけど、
それでも一生懸命がんばったら、少しずつ上手くなった。


次は、目標になった。

ボクもあそこに名前を載せたい。
憧れの人と同じところに名前があるなんて、だってとっても凄いじゃない?

世界中からプレイヤーが集まるIshのゲーム。
ランキングに入るのは恐ろしいくらい大変だった。
それでも、キミの名前はいつでもどこでも見た。

絶対にボクもあそこに名前を載せるんだって、躍起になった。

そうして必死に頑張ったら、とうとうランキングにボクの名前が載った。
ハンティングゲームの月間クリアタイム。
キミとの差は183位も空いてたけど、それでも同じところに名前が載った。
ボクはとても嬉しかった。

それで自信がついて、ますます頑張った。
一番好きなのは、初めてランクインしたあのゲームだけど
オセロも将棋もゴルフや野球のゲームだって頑張った。
そのうちいつの間にかボクも「ランカー常連」って呼ばれるくらいになった。


そうしたら今度はいつの間にか、キミを越えることが目標になった。

ランカー常連。

必死に必死に、キミを追いかけているうちに
ほとんどのランキングでボクはキミの直ぐ後ろにぴたりとつけるまでになった。
だけどボクは一度もキミを越えたことが無い。

その頃になるとボクには応援してくれるスレが出来ていて、
キミの事はやれ幽霊だ、AIだ、なんて騒がれてたけど、
ボクにはそんな事は関係ない。
ただ、キミよりも上の成績を取るのに必死だった。
(応援メールやおめでとうメールにはちゃんと返信してたけどね!)

だけどどうしてもキミを追い越せない。
たった1ポイント、1秒、1ターンが追いつけなくて。


あんまりにも追い越せなくって。


ほんの少し、少しだけ落ち込んじゃった日だった。
その日は、あのハンティングゲームの限定イベントステージのランク発表日。
やっぱり今回もキミが一番なのかな。
なんて、ちょっとふてくされてランキングボードを見上げた。


1st RANRAN
2nd Araignee


まず心臓が止まってしまうくらいにびっくりして、
それから、じっとしていられないようなうずうずが体中に走って、
上手く動かない手で通信デバイスのメーラーを開いた。

おめでとうっていうタイトルのメールがたくさん届いてた。
(後で知ったけど、この日1日だけでボクのスレッドがいくつか埋まったらしい)
けどそのメールを見る前に、
まず最初に、ずっとずっとやりたかった事。

震える指で設定する、メールの送信相手に初めてキミの名前。
こんなに長い間キミを追いかけていたのに、
実はコレがボクからキミへのファーストコンタクト。



ねえ、ボクはキミにやっと追いつきました。
8年もずっとキミだけに憧れて目標にしていたと聞いたら、驚きますか。


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らんらん
アラーニェ(inu5400星人さん)
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