らんらんブログ 2.ほろ苦TEA TIME

2011.05.27 Fri 02:02:59

2.ほろ苦TEA TIME

「わぁーん、わぁーん！」

ピンクのソファの上で丸まり上がる泣き声。

「アラーニェちゃんのばかっ！あっち行って！！」

力いっぱい投げられたクッションがアラーニェの顔面に飛んだ。

『ちょっと遅れちゃう＞＜
　簡易パスにしておいたから先にお部屋に入っててね★』

WoEの会議兼お茶会の会場として部屋を提供したらんらんから、
リーダーであるアラーニェの元にメールが届いたのは１時間ほど前の事。
ウインクするらんらんの写真とともに添付されていたパスワードで彼女の部屋に入る。
勝手知ったる仲、真直ぐキッチンへ向かうとメンバーのためのお茶を用意する。
何かお茶請けは、とままごとセットのようなキッチンの冷蔵庫をあけると、
中には涼しげな器に入ったコーヒーゼリーが幾つか入っていた。

「丁度いいですね、これにしましょう。」

「ラァネさん、それはなあに？」

「コーヒーゼリーですよ」

話をしながら広いリビングへ戻ると、丁度他のメンバーも集まりだしたところで、
白いテーブルへ着いたメンバーの前に彼の召喚獣であるヴァレンタインが
お茶とコーヒーゼリーを手際よく並べていった。

「らんらんは遅れるそうです。先に始めましょう」

「ごめんね、遅れちゃった★」

会議は滞りなく進んだ約30分後、
パタンと軽やかな音を立ててドアが開いた。

「アラーニェちゃん、お話ドコまですす・・・」

「おっと」

テーブルに駆け寄る途中で急に足を止めたらんらんに、
後ろから続いていたテンコがぶつかって小さく声を出したが、
らんらんはただ、先に会議の席についていた彼らのテーブルの上に乗った
透明な容器を小さく震える指で指さしていた。

「それ・・・アラーニェちゃん・・・それ・・・」

「ああ、冷蔵庫にあった物をお茶請けに出させて貰いましたよ」

何でも無い風にアラーニェが答えた途端、
らんらんの目からぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちた。

「えっ」

「な！どうしたんじゃらんらん！」

突然泣き出したらんらんにテンコが慌てて、他のメンバーも心配そうに腰を浮かせたところで

「らんらんのコーヒーゼリー！！
　楽しみにしてたのになんで食べちゃったのー！！！！」

らんらんの悲鳴のような叫びが部屋に響いた。
そして、冒頭に戻る。

「君は彼女の物を勝手に出したのかい？」

「何時もそうしてるじゃないですか」

「冷蔵庫の上段に、ちゃんと今日の分のシュークリームあったんだもん！」

「『アラーニェちゃんへ、これを出してね♥』ってメモがある箱があるけど、これかな」

「コーヒーゼリーくらいで・・・」

「コーヒーゼリーなんていつでも買えるし高いものじゃないけどそういうことじゃないんだよ！
　食べようと思ったらそこに無い、それが問題なの！アラーニェちゃんわかる？」

それに、と、らんらんは勢い良く顔を上げる。

「そのコーヒーゼリーは今日のお風呂上りにテンコくんと一緒に食べる約束だったんだもん！」

「なんと！アラーニェお主酷い事をしおる！」

先ほどまでらんらんの背をあやす様に撫でていたテンコが、アラーニェに向かって声を荒げる。

「二人分にしては数が多・・・」

「リーダー」

「リーダー・・・」

他のメンバー達からの冷たい目線。
そして、

「ラァネさんはらんらんの約束を取ってしまったの？」

ヴァレンタインの心配そうな一言が、彼にとっての止めだった。

「わかったわかった、新しいコーヒーゼリー作りますから」

その日の夜。

「おいしーい♥」

「はあ・・・まったく。
　大体、二人で食べる予定なら何故８個も置いてあるんですか。」

「デザートはベツバラなの★
　それに、テンコくんも大きいんだからいいの★」

「うーむ、こーひぃぜりぃという物も中々いけるのう」

「ふふ、ラァネさん、おいしい」

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